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片足立ち時間と歩行能力

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片足立ち時間と歩行能力

片足立ち時間と歩行能力

2022/06/13

高齢になった両親に口うるさく言うのは、「まだまだ大丈夫と思っていても、転倒するんだから、常に気を付けて、無理をしないように!」と。

私は仕事柄、元気な方が転倒をきっかけに骨折し、介護状態になられる方を多くみてきたからです。

「夜中のトイレは電気をつける」「必ず手すりをもってトイレに行く」など環境にもじゅうぶん気を配る必要があります。

しかしよく聞かれる疑問が、「私は室内を歩くとき、何も持たなくてもいいのか?」「杖は必要なのか?」「手すりは必ず設置すべきなのか?」など・・・「何か基準はあるんですか?」ということ。

実ははっきりした基準はなく、リハビリの専門家などが感覚でアドバイスすることがほとんどです。

 

一般的に「片足立ち」が長くできる人は転倒しにくいと言われています。

30秒以上できる人で、転倒歴がある人はいなかったという報告もあります。

私は数年前にある調査をしました。歩行の能力を片足立ちの時間を図ることで予測できないか?ということです。在宅でリハビリにかかわる場合、高価な機器などは使用できません。より簡単に負担なく測定できるものとして片足立ちが最適でした。

対象は訪問看護ステーションからリハビリを受けている85名の高齢者で、全員の片足立ちで保持できる時間を測りました。左右両方測定し、その合計時間(秒)と、その方の歩く能力との関連性を調査しました。

片足立ちは、目を開けた状態で片足を地面から5cm程度挙げ、手は体側に垂らすか、腰においておきます。この片足立ちの時間を左右測定します。

歩行能力は室内または屋外を普段どのような様式で歩行されているのかというより安全な方法を記録しました。

結果、以下の傾向がみられました。

 

片足立ち(左右の合計)

できる歩き方

20秒以上

屋外歩行(独歩、杖)

10秒以上

屋内独歩

5秒以上

屋内伝い歩き、杖歩行

5秒以下

屋内歩行器歩行

 

 

 

 

 

 

片足立ち10秒以上保持できるようであれば、家の中で何も持たずに歩けるレベルです。

5秒以上できるけど10秒はできないという人は、家に手すりを設置した方がよさそうです。

20秒以上保持できれば屋外に積極的に出て歩くことも可能かもしれませんね。

 

このようにある程度傾向は認められましたので、具体的な目標をもってリハビリに取り組みやすくなると思います。ただし、ご自宅の環境や症状が日によってかなり変化するような人は注意が必要ですので、自己判断せず無理はしないことをお願い致します。

 

※この内容は第57回近畿理学療法学術大会で発表させていただいたものの概要になります

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