高齢者の方は肺炎に要注意
2023/02/15
「2類相当」から「5類」に引き下げ
コロナも
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5月8日から現在の「2類相当」から季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられることになりました。経済活動やそのあたりはコロナ禍以前に回復していくと思われますが、我々の身体的なダメージなど何ら変わることはないので、引き続き注意は必要ですね。特に我々のように医療介護業界で働く者は高齢者や基礎疾患を有するには十分なリスク管理が必要です。
大寒波到来で「風邪」や「インフルエンザ」が増えています
肺炎に注意
2023年1月末から10年に1度の大寒波到来。久しぶりに雪が降ったという地域も多かったと思います。コロナとは別にインフルエンザもとても流行してきたところですので、肺炎がとても心配な時期なんです。
「風邪」「インフルエンザ」「肺炎」の違いは?
そもそも
「風邪」のウイルスは、鼻やのど、いわゆる上気道に感染することがほとんどです。
「インフルエンザ」は、ウイルスが上気道に加え、もう少し奥の気管や気管支に感染することもあります。
「肺炎」は、いわゆる「肺胞」にウイルスや細菌が感染し、炎症を起こします。肺胞は酸素と二酸化炭素の交換を行う組織ですから、この肺胞が炎症を起こすと、とても息苦しくなります。
高齢者には罹患しやすいので特に注意
肺炎は
肺炎で亡くなる人は、国内では年間およそ12万人と推計されています。その数は増加しており、2011年には、がん、心臓病に次いで、肺炎が日本人の死因第3位になりました。
肺炎で亡くなる方のほとんどが65歳以上の高齢者で、特に入院中や介護を受けている人に多く発症します。ただし、元気に過ごしている高齢者も安心はできません。特に、75歳以上の後期高齢者は、肺炎をきっかけに体力が低下し、介護が必要になったり、亡くなることもあります。
風邪やインフルエンザの後は肺炎に罹患しやすい
繊毛の働き
のどの入り口から肺につながる気管や気管支には、表面を粘膜におおわれた繊毛細胞が無数にあります。健康であれば、病原微生物が気管や気管支に侵入しても、粘液に付着し、繊毛細胞によって痰として口のほうへ戻されます。そして、吐き出して排出したり、飲み込まれて胃で消化され死滅します。
しかし、かぜやインフルエンザにかかり、それらのウイルスが気管に感染すると、繊毛細胞が破壊されることがあります。そこに病原微生物が付着すると 感染し増殖しやすくなります。そして、肺にまで達してしまうと、肺炎を起こしやすくなるのです。
はがれた繊毛細胞が元に戻るには、約3週間かかると考えられていますので、「風邪」や「インフルエンザ」にかかってしばらくの間は肺炎を起こしやすい状態になっていると思ってください。
高齢者の肺炎で一番多いのは「誤嚥(ごえん)性肺炎」です
誤嚥性肺炎
我々が食べ物を飲み込む機能を「嚥下(えんげ)」といいます。嚥下した食べ物や唾液などは、口から食道へと送られます。この機能が何らかの原因でうまく働かず、誤って気道に入り込んでしまうことを「誤嚥」といいます。誤嚥によって起こるのが「誤嚥性肺炎」です。65歳以上の高齢者に起こる肺炎の多くを占めているのです。
誤嚥する原因
誤嚥の原因
嚥下障害
高齢になると、嚥下機能が低下します。それにプラス、病気が重なって嚥下障害を起こすことが多くの原因になっています。特に脳卒中を発症する場合が多く、他にも寝たきりの人やパーキンソン病やアルツハイマー型認知症などでは嚥下障害を合併することが多いと言われています。
咳反射の低下
通常は気道に唾液や食べ物が入るような誤嚥を起こすと、反射的に咳をして排出します。高齢者や脳卒中を起こした人は、咳反射がうまくできないことが多く、睡眠中に唾液などが少しずつ気管に入っていきます。その結果、誤嚥性肺炎が起こることがあります。
口腔内の不潔
歯みがきが不十分だったり、食べかすなどが口の中に残っている場合には、口腔内で細菌が繁殖しやすくなります(歯周病の原因菌も肺炎の原因になります)。前述の咳反射の低下も合併すると、飲食物や唾液と一緒に気管に入ってしまい、肺炎を発症しやすくなります。
体力・免疫力の低下
高齢者や重い病気のある人は、体力や抵抗力が低下していることが多く、誤嚥性肺炎を発症しやすくなります。また高齢者は肺炎にかかっていても発熱やせきといった症状が出にくく、肺炎に気付くのに遅れてしまうことがあります。食欲がなかったり、反応が悪かったり、普段と違って元気がない様子があれば肺炎を疑うぐらいの方が良いかもしれません。
誤嚥性肺炎を防ぐための対策
対策
1)口腔ケア(歯みがきと舌みがき)
歯や舌は食べものが付着し、細菌が繁殖しやすいので、高齢者や介護を受けている方などは、毎食後と寝る前の1日4回「歯みがき」と「舌みがき」を行うとよいでしょう。舌をみがきはあまり慣れていない方が多いと思いますが、市販の舌用ブラシで優しく使うようにしてください。うがいも肺炎やインフルエンザの予防に効果があります。
2)嚥下の仕方の工夫
猫背のような姿勢で食事をすると飲み込みにくくなります。椅子の背もたれに背中を付け姿勢をよくすると飲み込みやすくなります。ただし少しだけあごは引き気味の方が飲み込みやすくなりますので、介護が必要な方に指導する際にとても役立ちます。
3)食事仕方や料理の工夫
少しずつ食べること。あまり大きなものを口に入れたり、口にまだ入っているのに次の食べ物を入れたりしてしまうと危険です。何かの拍子にすっと喉の奥に入ってしまうこともあります。嚥下機能にすでに問題がある方にはトロミを付けるなど、個人に合った方法を見つけるようにしておく必要があります。
4)トレーニングをしておく(嚥下機能低下防止)
舌の動き、胸郭、頸部の運動、空飲み練習、唾液腺の刺激など嚥下に必要な機能低下を防いでおくことも大切です。
5)肺炎球菌ワクチンを受けておく
肺炎の重症化のリスクをおよそ70%下げることができるといいます。主に65歳以上の方はワクチンを公費の助成で一度受けることができますので、ワクチンは受けておくことが大切です。
6)体力をつける(免疫機能向上)
禁煙、適度な運動、しっかり食べる、人と話をするなど、精神的にも身体的にも強い身体をつくることはとても大切です。
飲み込む力のセルフチェック
セルフチェック
誤嚥性肺炎を防ぐためには、飲み込む力が衰えてないかどうか知ることが大切です。簡単に嚥下機能をご自分でチェックできます。
① 唾液が出やすくなるよう少量の水を飲み、口の中を湿らせます。
② のどぼとけに手を当て、唾液を飲み込みみます。
③ 唾液を飲み込む時、のどぼとけが一度上に移動し、もとの位置に戻るのを確認します。
基本的には3回を30秒以内でできれば問題ないとされています。できない場合は飲み込む力が衰えている可能性がありますので、飲み込むトレーニングをする必要があるかもしれません。
まとめ
まとめ
芸能ニュースなどでも肺炎が原因でお亡くなりになる方をよく耳にします。心身ともに弱った時、生活習慣が乱れた時などに肺炎になりやすく、また重症化しやすいと思います。日頃から十分気を付けておきたいものです。
肺炎は怖い病気ですので、できる範囲で活動性を上げ、体力維持に努めましょう。
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